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力率改善コンデンサの効果|下がるのは基本料金の最大15%

2026/08/30
記事

電気料金の明細に「力率」という欄があり、そこに95%や88%といった数字が並んでいます。調べれば、力率を上げれば基本料金が割り引かれること、進相コンデンサを入れれば力率が上がることまでは分かります。ただ、自分の施設で実際にどれだけ下がるのか、そもそも入れる価値がある状態なのかが出てきません。

力率改善は、効果の上限がはっきり決まっている打ち手です。つまり、自施設にどれだけ伸びしろが残っているかを、明細を見れば工事の前に計算できます。伸びしろが残っていない施設にコンデンサを増設しても、割引額は1円も増えません。

この記事では、下がる金額の上限、明細から伸びしろを判定する手順、入れる前に確認する3点、そのあとに残る「契約電力」への打ち手までを整理します。年間の電気料金が2,000万円以上、高圧で受電している施設を想定しています。

力率改善で下がるのは「基本料金」だけで、割引は15%が上限

進相コンデンサによる力率改善が動かすのは基本料金だけで、力率を100%まで引き上げても、割引は15%で頭打ちになります。電力量料金や再生可能エネルギー発電促進賦課金は、力率をいくら改善しても変わりません。

高圧受電の基本料金は、次の掛け算で決まります。

  • 基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力 × (185 − 力率)÷ 100

基準になるのは力率85%です。85%を1%上回るごとに基本料金が1%割り引かれ、1%下回るごとに1%割り増しされます。この式に力率100%を入れると係数は0.85になり、割引は15%になります。力率は100%を超えて料金計算に反映されないため、これが力率改善で得られる効果の天井です。

高圧受電の基本料金は、3つの掛け算で決まる 基本料金単価 円/kW × 契約電力 kW × 力率係数 (185 − 力率)÷ 100 電力会社が決める 直近12か月の 最大デマンドで決まる 進相コンデンサが動かせるのは この項だけ ※ 基準は力率85%。85%を1%上回るごとに1%の割引、下回るごとに1%の割増になります

図1:力率改善が触れるのは、3つの項のうち右端の1つだけです。左の2つは別の打ち手の担当になります。

ここから、いま手元にある伸びしろを計算できます。力率が95%の施設に残っているのは5%分、基本料金にして5%です。基本料金が請求全体の3割を占める施設なら、請求総額に対しては1.5%程度の効果ということになります。この見込みを先に置かずに工事費だけを比べると、投資に見合わない判断になりかねません。

伸びしろが残っているかは、12か月分の力率の並びで分かる

直近12か月の明細に並ぶ力率がすべて98%以上であれば、コンデンサを増設しても割引の余地はほとんど残っていません。この場合に見るべきなのは力率ではなく、掛け算の左側にある契約電力です。

力率は月ごとに変動します。1か月分だけを見て判断せず、12か月分を横に並べてください。並び方によって、疑うべきことが変わります。

明細の力率(12か月分) 1 3 5 7 9 11 通年で98%以上 力率での伸びしろはほぼ残っていない。契約電力の側を見る 特定の月だけ 90%を下回る 最大負荷に対して容量が足りているか。逆に軽い月だけ落ちるなら進み側を疑う 通年で 90%前後 未設置か、設置済みでも機能していない状態を疑う ※ マスの濃さは力率の高低のイメージです。実際の値と月の並びは施設によって異なります

図2:同じ「力率が低い」でも、落ち方によって原因と打ち手が変わります。

特定の月だけ力率が落ちる場合

空調や生産設備の稼働が増える時期にだけ力率が下がるなら、コンデンサの容量が最大負荷に対して足りていない可能性があります。反対に、稼働の軽い月にだけ落ちているなら、後述する進み力率を疑ってください。

通年で力率が低い場合

通年で90%前後にとどまっているなら、コンデンサが設置されていないか、設置されていても働いていない可能性があります。点検で開放したまま戻し忘れている、内部が劣化して容量が抜けている、自動力率調整装置が停止している——いずれも外観からは分かりません。年次の保安点検の記録に、容量測定の結果が残っているかを確認してください。

コンデンサを入れる前に確認する3つのこと

直列リアクトルが組み合わせてあるか

進相コンデンサは単体では設置しません。一般に、容量の6%にあたる直列リアクトルを組み合わせるのが標準とされています。投入時の突入電流を抑え、施設内の機器が生じさせる第5高調波に対して回路を誘導性に保つためです。ひずみが大きい施設では13%品を選ぶ場合もあります。古い設備ではリアクトルを伴わないコンデンサが残っていることがあり、増設よりも先に見直す対象になります。

軽負荷の時間帯に進み力率になっていないか

最大負荷に合わせて容量を決めると、夜間や休日など負荷が軽い時間帯には容量が過剰になります。負荷側の遅れ分が減った分だけコンデンサの進み分が系統に残り、受電点の電圧が上がります。稼働中の機器への影響に加え、月間で均された力率がかえって基準から遠ざかることもあります。負荷の振れ幅が大きい施設では、負荷に応じて段数を切り替える自動力率調整装置を前提に検討してください。

負荷が重い時間帯 負荷の遅れ分 コンデンサの進み分 打ち消し合い、力率は適正に近づく 負荷が軽い時間帯 負荷の遅れ分 コンデンサの進み分 この分が余る 進み力率になり、受電点の電圧が上がる ※ 負荷に応じて段数を切り替える装置を組み合わせると、この差を抑えられます

図3:容量は大きいほど良いわけではありません。負荷が軽い時間帯に余った分が問題になります。

既設のコンデンサが更新推奨時期を過ぎていないか

高圧進相コンデンサの更新推奨時期は、一般に15年とされています(日本電機工業会の調査報告による)。これを過ぎた設備は内部の劣化が進み、容量が抜けて力率が下がるだけでなく、発煙や発火に至る事例が報告されています。力率が年々下がってきている施設では、容量を足す前に、既設の更新で戻らないかを先に確認してください。

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力率を上げきっても、基本料金の土台は動かない

力率割引は基本料金の係数に効く仕組みで、掛け算の土台である契約電力そのものは、力率をいくら上げても動きません。力率100%で15%を引いても、残る85%の大きさは契約電力が決めています。

契約電力は、直近12か月のうち最も高かった30分間の平均使用電力で決まります。一度だけ現れた山が、その後12か月の基本料金を決め続ける仕組みです。ここを下げると、力率割引が掛かる前の金額そのものが小さくなります。力率が98%を超えている施設で次に手を入れるべきなのは、この項です。

当社が提供しているのは、この山だけを抑える制御です。特許を取得した制御方式により、施設の稼働や室温を我慢せずに30分ごとのピークの平準化を図ります。施工は電気工事士資格を持つ自社スタッフが行い、外部委託はしていません。初期費用は0円で、削減できた電気料金の範囲内でお支払いいただく形です。導入後は削減額とCO2削減量を数値で報告しています。稼働実績は20年以上、導入は約3,500社・12,000施設です。

導入前に確認しておきたいこと

コンデンサの増設にしても制御の追加にしても、受変電設備に手を入れる工事です。相談先がどこであっても、次の3点を先に押さえると判断が早く進みます。

  • 直近12か月分の電気料金明細(力率・契約電力・最大需要電力が載っているもの)を揃えられるか
  • 受変電設備の単線結線図と、直近の年次点検報告書が手元にあるか
  • 施工を誰が行うか。設計と施工が別の会社に分かれると、効果が出なかったときの窓口が曖昧になります

とくに3点目は見積書に現れにくい部分です。有資格者が自社で施工するのか、下請けに出すのかを、契約前に確認しておくことをおすすめします。

よくある質問

力率を改善すると、電気の使用量も減りますか?

ほとんど減りません。力率改善で減るのは配線を流れる無効分の電流で、施設内の機器が消費する有効電力は変わらないためです。効果が出るのは基本料金の割引で、電力量料金はほぼそのまま残ります。

コンデンサの容量は、大きめにしておけばよいのですか?

大きすぎると軽負荷の時間帯に進み力率となり、受電点の電圧上昇を招きます。負荷の実測にもとづいて決めるものであり、余裕を見て大きくしておく性質のものではありません。

力率が100%を超えることはありますか?

計測上は進み側に振れることがありますが、料金の計算では100%を超える分は割引に反映されません。割引は15%で頭打ちのため、それ以上の容量は費用だけが増えることになります。

力率改善と、ピークを抑える制御は併用できますか?

効く場所が異なるため、併用を検討できます。力率改善は基本料金の係数に、ピーク制御は契約電力に効きます。伸びしろの大きいほうから着手すると、投資の判断がしやすくなります。

まとめ

力率改善は、効果の上限が制度で決まっている打ち手です。だからこそ、工事の前に見込みを計算できます。

  • 下がるのは基本料金だけ。割引は力率100%でも15%が上限
  • 12か月分の明細を並べ、通年で高いのか、特定の月だけ落ちるのかを先に見る
  • 容量は大きいほど良いわけではない。軽負荷時の進み力率と直列リアクトルを併せて検討する
  • 既設コンデンサは更新推奨時期を確認する。増設より更新が先になる場合がある
  • 力率を上げきったあとに残るのは契約電力。ここは別の打ち手の担当になる

明細の力率を12か月分並べるところから始めてください。伸びしろがどちらの項にあるかは、それだけで見当がつきます。

この記事を書いた人
株式会社Media Japan エネルギーソリューション担当
電気工事士資格を保有し、大規模施設への省エネシステムの導入から施工までを担当しています。記載の削減実績・目安額は、当社が実際に導入した施設のデータにもとづいています。個別の施設における削減額は、電気料金明細をもとに無料で試算いたします。
株式会社Media Japan/東京都豊島区東池袋1-25-6 PMO池袋2階
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