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エネルギー管理士は必要か|資格が必須になる施設の判定手順

2026/09/02
記事

省エネ法の対象になったという連絡を受け取って、最初に浮かぶ疑問が「エネルギー管理士の資格を持った人を置かないといけないのか」ではないでしょうか。社内に免状を持つ人がおらず、試験は年に一度と聞けば、間に合わないのではと不安になります。

調べ始めると、資格の取得方法や試験の難易度を解説したページにたどり着くことが多く、施設の側から見た「うちは選任が要るのか、要るとして誰を置けばよいのか」という判定の手順にたどり着くまでに時間がかかります。

結論から書きます。エネルギー管理士の免状が必須になる施設は、思われているよりずっと限られています。この記事では、選任義務の構造を三階建てに分けて示したうえで、事業所ごとに誰を置くことになるのかを、使用量と業種の2つの軸で判定できるように整理します。

エネルギー管理士の資格が必須なのは、5業種の第一種エネルギー管理指定工場等だけ

エネルギー管理士の免状を持つ人を必ず置かなければならないのは、製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種に属し、かつ年間のエネルギー使用量が原油換算3,000kL以上の事業所に限られます。病院・ホテル・商業施設・オフィスビル・物流センター・自治体の庁舎などは、この5業種に入りません。同じ規模でも、置くのは「エネルギー管理員」であり、エネルギー管理講習を修了していれば要件を満たします。

省エネ法が求めているのは「決められた役割に人を置くこと」であって、「エネルギー管理士を採用すること」ではありません。資格の要否は、役割ごとに異なります。

選任は「事業者全体に2つ」「事業所ごとに1つ」の三階建て

事業者全体の年間エネルギー使用量が原油換算1,500kL以上になると特定事業者に指定され、まず会社単位でエネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者を1名ずつ選任します。そのうえで、指定を受けた事業所ごとに、エネルギー管理者またはエネルギー管理員を選任します。

  • エネルギー管理統括者…事業の実施を統括管理する立場の人から選びます。資格は不要で、役員や工場長など、投資の判断ができる位置の人が想定されています
  • エネルギー管理企画推進者…統括者を実務面で補佐します。エネルギー管理士か、エネルギー管理講習の修了者から選任します
  • エネルギー管理者・エネルギー管理員…事業所ごとに置きます。ここだけが、使用量と業種によって資格要件が変わります
事業者全体に1名ずつ エネルギー管理統括者 経営の側で全体を束ねる エネルギー管理企画推進者 統括者を実務で補佐する 資格の要否 統括者:資格は不要 企画推進者:管理士または エネルギー管理講習の修了 指定を受けた事業所ごとに1つ エネルギー管理者 5業種の第一種のみ エネルギー管理員 それ以外の区分はこちら 資格の要否 管理者:管理士の免状が必須 管理員:管理士または エネルギー管理講習の修了 ※ 事業所ごとに置く人は、次の図のとおり使用量と業種の2つで決まります

図1:資格の免状が必須になるのは、三階建てのうち事業所側に置く「エネルギー管理者」の枠だけです。

事業所ごとに置く人は、使用量と業種の2つで決まる

事業所単位で誰を置くかは、その事業所の年間エネルギー使用量が原油換算3,000kL以上かどうかと、5業種に属するかどうかの、2つの条件だけで決まります。この2つを順に当てはめれば、免状が要るのか、講習で足りるのかがその場で分かります。

使用量が3,000kL以上の事業所は第一種エネルギー管理指定工場等、1,500kL以上3,000kL未満の事業所は第二種エネルギー管理指定工場等として指定されます。第一種のうち5業種に属する事業所だけが、エネルギー管理士の免状を持つ人からエネルギー管理者を選任することになり、その人数も使用量の区分に応じて1人から4人まで増えていきます。

事業所の年間使用量 事業所の業種 選任するのは 原油換算3,000kL以上 第一種指定工場等 製造業・鉱業・電気供給業 ガス供給業・熱供給業 エネルギー管理者 免状が必須/1人から4人 原油換算3,000kL以上 第一種指定工場等 上の5業種以外のすべて エネルギー管理員 講習の修了で足りる 1,500kL以上3,000kL未満 第二種指定工場等 業種を問わない エネルギー管理員 講習の修了で足りる

図2:三つの区分のうち、免状が必須になるのは一番上の行だけです。

エネルギー管理員は、講習の修了でも要件を満たせる

エネルギー管理員は、エネルギー管理士の免状がなくても、エネルギー管理講習を修了すれば選任できます。この講習は受講資格の制限がなく、オンラインでの受講にも対応しています。免状の取得と比べると、体制を整えるまでの時間が大きく違います。

一方、エネルギー管理士の免状は二つの経路で取得します。国家試験に合格したうえでエネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事するか、申込みの時点で3年以上の実務経験を持つ人が認定研修を修了するかのいずれかです。どちらも短期間では整いません。自社が免状を要する区分に当たるのかを先に確かめておかないと、要らない準備に時間を使うことになります。

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選任したあとに続く実務のほうが、負担としては重い

人を決めれば終わりではありません。選任や解任があったときは、その事由が生じた日以後、最初に到来する7月末日までに、所管の経済産業局へ届出書を提出します。担当者の異動が多い施設では、この届出漏れが起きやすい箇所です。

さらに、毎年度7月末日までに定期報告書を提出し、エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減するという努力目標に沿って改善を続けることが求められます。選任された人に実際にのしかかるのは、資格の有無ではなく、毎年提出できる数値を持っているかどうかです。

ここでつまずく施設には共通点があります。月々の請求額は分かっても、どの設備がいつ電気を使ったのかまでは分からない。だから報告書の数値は前年と同じ理屈でしか書けず、改善したという説明が立たない。計測して見えるようにするところから始める必要があるのは、このためです。

導入前に確認しておきたいこと

選任そのものは、事業者が自社の中から人を選んで行います。外部の会社に肩代わりしてもらう性質のものではありません。一方で、計測・分析・報告に使う数値を作る部分は外部に任せられます。この線引きを踏まえて、支援先を選ぶときは次の点を確かめてください。

  • 提案された削減効果が、定期報告書に書ける形の数値で出てくるか。電気料金の減少額だけでは、原単位の改善を説明する材料になりません
  • CO2排出量の削減量まで、年間の実測値として報告されるか。サステナビリティ報告や取引先からの照会にも、そのまま使えます
  • 工事を誰が行うのか。当社の場合は電気工事士の資格を持つ自社スタッフが施工しており、外部委託していません。受変電設備に手を入れる作業では、施工者が誰かによって当日の段取りも保証の窓口も変わります
  • 費用の出方。初期費用0円で、削減できた電気料金の範囲内から支払う形であれば、設備投資の稟議を通さずに始められます。当社の実績では、年間70万円から720万円の削減額が施設の規模に応じて出ています
思われがちなこと 実際の取り扱い 対象になったら、免状を持つ人を 採用しないと間に合わない 免状が要るのは5業種の第一種だけ。 多くの施設は講習の修了で足りる 人を決めて届け出れば、 省エネ法の義務は片付く 毎年度の定期報告と、原単位を 年平均1%下げる努力目標が続く 選任も報告も、まとめて外部に 任せてしまえばよい 選任は自社で行う。計測と数値を 作る部分は外部に頼める

図3:資格の心配より先に、自社がどの区分に当たるのかを確かめると、準備の順番が変わります。

よくある質問

エネルギー管理士の資格を持つ社員がいません。外部の専門家に選任を委託できますか?

選任は事業者が自社の中から人を選んで行うもので、社外の人に肩代わりしてもらう性質のものではありません。ただし、免状が必須になるのは5業種の第一種エネルギー管理指定工場等に限られ、それ以外の区分はエネルギー管理講習の修了で要件を満たせます。計測や分析、報告用の数値づくりは外部の支援を受けられます。

エネルギー管理士とエネルギー管理員は、どちらが上位の資格ですか?

上下の関係ではなく、性質が違います。エネルギー管理士は国家資格の免状で、エネルギー管理員は省エネ法上の役割の名前です。免状を持つ人はエネルギー管理員にも就けますが、逆にエネルギー管理員として選任されたからといって免状が得られるわけではありません。

選任した人が異動や退職をしたときは、どうすればよいですか?

後任を選任したうえで、選任と解任の届出書を、その事由が生じた日以後、最初に到来する7月末日までに所管の経済産業局へ提出します。異動の時期にまとめて手続きしておくと、届出漏れを防げます。

資格者を置けば、省エネ法への対応は完了したことになりますか?

選任は入口にあたります。このあと毎年度、定期報告書の提出と、エネルギー消費原単位を年平均1%以上低減する努力目標への対応が続きます。改善を数値で説明できる状態を作っておくことが、実務としては本題になります。

まとめ

エネルギー管理士の免状が必須になるのは、製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種に属する第一種エネルギー管理指定工場等に置くエネルギー管理者だけです。病院・ホテル・商業施設・オフィスビル・物流センターなどは、同じ規模でもエネルギー管理員で足り、エネルギー管理講習の修了で要件を満たせます。

資格の準備に走る前に、自社が三階建てのどの枠に当たるのかを確かめてください。そのうえで残る課題は、毎年度の報告に耐える数値をどう作るかに移ります。使用量を計測して見えるようにし、ピークを抑えて実際に減らし、削減量を数値で受け取れる形にしておけば、選任された人の負担は軽くなりやすくなります。

この記事を書いた人
株式会社Media Japan エネルギーソリューション担当
電気工事士資格を保有し、大規模施設への省エネシステムの導入から施工までを担当しています。記載の削減実績・目安額は、当社が実際に導入した施設のデータにもとづいています。個別の施設における削減額は、電気料金明細をもとに無料で試算いたします。
株式会社Media Japan/東京都豊島区東池袋1-25-6 PMO池袋2階
TEL 03-5985-5056 MAIL info@mediaj.jp
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