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蓄電池で法人の電気代は下がるか|効果の出る条件と容量の決め方

2026/09/05
記事

蓄電池の見積もりを取ったものの、その金額に見合う効果があるのか判断できないまま止まっている——大規模施設の設備担当者から、こうしたご相談が増えています。提案書に並ぶ「電気代削減」の中身が、施設ごとの前提に委ねられているためです。

この記事では、蓄電池で下がるのは請求書のどの部分か、必要な容量をどう計算するか、効果を取りこぼす施設の共通点を順に整理します。

蓄電池で下がるのは「基本料金」で、使う電気の量は減らない

蓄電池は電気の使用量そのものを減らす装置ではなく、電気を使う時間をずらす装置です。そのため電気代が下がるのは、主に契約電力で決まる基本料金の部分になります。

高圧受電の請求書は、大きく次の3つでできています。

  • 基本料金=単価 × 契約電力 × 力率による割引。契約電力は、直近12か月で最も高かった30分の平均使用電力(最大デマンド値)で決まります
  • 電力量料金=単価 × 使用量(kWh)± 燃料費調整額
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金=法定の単価 × 使用量(kWh)

蓄電池が動かせるのはこのうち基本料金です。夜間に充電してピークの時間帯に放電すれば、買う瞬間の電力が下がり、最大デマンド値が抑えられます。

一方で、施設が使う電気の総量(kWh)は減りません。充放電のたびに損失が生じるため、買う量はむしろわずかに増えます。電力量料金が下がるとすれば、単価の安い時間帯に買い替えた差額です。再エネ賦課金は使用量に法定単価を掛けたものなので、蓄電池では動きません。

請求書の内訳 何で金額が決まるか 蓄電池で動くか 基本料金 請求のうち固定的に乗る部分 直近12か月で最も高かった 30分の平均使用電力 山を抑えれば下がる 電力量料金 使った分だけ乗る部分 単価 × 使用量(kWh) + 燃料費調整額 量は減らず、単価差だけ 再エネ賦課金 全国一律で乗る部分 法定の単価 × 使用量(kWh) ※ 力率による割引・割増は基本料金の側に掛かります

図1:蓄電池が効くのは3欄のうち1欄。削減見込み額はこの欄の金額が上限です。

必要な容量は、ピークの高さではなく「はみ出した面積」で決まる

蓄電池の容量は、削りたいピークの高さ(kW)ではなく、目標ラインを超えている時間帯の電力量の合計(kWh)で決まります。同じ100kW分のピークでも、超過が30分で収まるなら50kWh、2時間続くなら200kWhが必要で、容量は4倍変わります。

必要な容量は、次の手順で見当がつきます。

  • 手順1:直近12か月分の30分デマンドデータを入手します。小売電気事業者のWeb明細から取得できることが多いものです
  • 手順2:12か月分を並べ、目標とする契約電力の水準に横線を引きます
  • 手順3:線を超えているコマの超過分のkWに0.5時間を掛けて足します。1日ぶんの合計が最も大きかった日の値が、必要な容量の下限です
  • 手順4:最も大きくはみ出した瞬間のkWが、必要な出力の下限です

蓄電池には「出力(kW)」と「容量(kWh)」の2つの数字があり、見積書でも別の項目です。出力が足りなければピークを削りきれず、容量が足りなければ途中で空になります。一方だけでは契約電力は下がりません。

さらに、放電できる範囲は全容量の一部に限られ、年数が経つと容量そのものも落ちます。一般に、リン酸鉄系のリチウムイオン電池では、容量が初期の80%まで低下するまでの充放電回数は2,000〜7,000回程度とされています。契約期間の終盤でも足りる容量で見積もることが大切です。

目標とする契約電力の水準 この色の部分の合計が、必要な蓄電容量になる 午前 午後(超過が出ている時間帯) 目標ラインの超過分(kW × 0.5時間) 目標ライン以下(買ったままでよい分) 使用電力

図2:一番はみ出した瞬間の高さが必要な出力、色の付いた面積の合計が必要な容量です。

1年のうち1回でも放電できない30分があると、その年の基本料金は下がらない

契約電力は直近12か月で最も高かった30分の実績で決まるため、蓄電池が1度でも反応できない日があると、その30分が1年間の基本料金を決めてしまいます。効果を左右するのは、平均的な日の性能ではなく、最も条件の悪い日に確実に動けるかどうかです。

取りこぼしが起きやすいのは、次の場面です。

  • 長期休み明けの一斉起動:止めていた設備が同時に立ち上がり、通常の日を超える山になります
  • 前日のピークで残量を使い切った翌朝:充電が間に合わないまま次の山を迎えます
  • 蓄電池自身の点検・停止中:点検の日にピークが重なると、その実績が残ります
  • 季節の変わり目:想定より早い時期に山が出ることがあります

そのため蓄電池を入れる場合でも、上限に近づいたときに設備の運転を自動で調整する仕組みは別に必要です。蓄電池は供給を足す手当て、制御は需要を抑える手当てで、役割が違います。

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蓄電池が要る施設と、制御で足りる施設。違いはピークの「形」に出る

ピークの形が違えば、必要な設備も変わります。30分デマンドデータを1年分並べると、施設はおおむね次の3つに分かれます。

  • 鋭い山が短時間だけ出る形:起動時や一時的な負荷の集中でできる山です。超過面積が小さく、運転開始を数分ずらす制御だけで消えることもあります
  • 高い水準が数時間続く形:暑い時期の午後などに横ばいが続く形です。超過面積が大きく、削るには相応の容量が要ります。蓄電池が効きやすいのはこの形です
  • 年に数回だけ突出する形:その数日に何が起きているかを特定して運用で外すほうが、費用対効果が高いことがあります

自施設がどれに当たるかは、カタログでは分かりません。判断の材料は実測データだけです。

鋭い山が短時間 超過している面積は小さい 運転をずらす制御で 消えることが多い 高い水準が数時間 超過している面積が大きい 相応の容量が要る。 蓄電池が効きやすい形 年に数回だけ突出 ふだんは低い水準にある その数日の中身を 特定するのが先

図3:破線は目標とする契約電力の水準。同じ最大デマンド値でも、形が違えば打ち手は変わります。

導入前に確認しておきたいこと

見積もりは1kWhあたりの単価に直して比べる

見積もりは機器・工事・制御盤・保守がひとまとめのことが多く、そのままでは他の提案と並べられません。総額を容量(kWh)で割ると比較できます。一般に、業務・産業用の蓄電システムは工事費を含めて1kWhあたり10万〜15万円程度が目安とされています。この幅から外れる場合は、どの費用が別途なのかを確認してください。

設置場所は「置ける広さ」だけでは決まらない

産業用の蓄電池は重量があり、屋上や中間階なら床の耐荷重の確認が要ります。屋外でも、受変電設備から離れるほどケーブルと基礎の費用がかさみます。消防への届出や離隔距離も関わるため、現地を見ないと確定しません。

保証は「年数」ではなく「容量の下限」で読む

実際に効くのは、保証年数ではなく「何年後に初期容量の何%を保証するか」です。ここが低いと、契約期間の後半でピークを削りきれなくなることがあります。導入時の削減額が続く前提で回収年数を組んでいるなら、保証の中身と合っているかを確認してください。

受変電設備につなぐ工事を、誰が担当するか

蓄電池を高圧の受電設備側につなぐ工事には、電気工事士の資格が必要です。販売と施工が分かれている場合は、工事の範囲と責任の所在を契約前に確認してください。当社では、電気工事士資格を持つ自社スタッフが施工を担当します。

設備投資を伴わずに下がる分を、先に確定させる

蓄電池の容量を決めるには、どのみち30分デマンドデータが必要です。同じデータがあれば、設備を増やさずに制御だけで下げられる幅も分かります。当社が扱う省エネシステムは初期費用0円で、削減できた電気料金の範囲内でお支払いいただく形です。年間の削減額は施設の規模により70万円〜720万円が目安です。

よくある質問

太陽光発電がないと、蓄電池を入れる意味はありませんか?

太陽光がなくても、契約電力を下げる目的であれば成立します。夜間に充電してピークの時間帯に放電する使い方になり、削減の原資は基本料金です。ただし電力量料金の側で得られる差額は小さくなります。

蓄電池はBCP対策も兼ねられますか?

兼ねられますが、設計が要ります。ピークカットで放電した直後は残量が少なく、その時間帯に停電が起きると使える電力が限られます。非常時に確保したい容量を先に決め、残りをピークカットに回してください。

蓄電池とデマンド制御は、どちらか一方を選ぶものですか?

併用が前提と考えたほうが安全です。制御で山そのものを低くしておくと、必要な蓄電容量が小さくなり、投資額も抑えられます。

導入後、効果が出ているかはどう確認しますか?

毎月の最大デマンド値を記録し、目標ラインを超えた30分がなかったかを見てください。超えた日があれば、そのとき蓄電池が放電していたか、残量が足りていたかを確認します。

まとめ

蓄電池で下がるのは基本料金であり、使う電気の量は減りません。必要な容量は、ピークの高さではなく超過している面積で決まります。そして1年のうち1回でも取りこぼせば、その30分が1年間の基本料金を決めます。

判断の材料は、いずれも直近12か月の30分デマンドデータです。これを手元に用意すれば、蓄電池が要る施設なのか制御で足りる施設なのかは、見積書を並べる前に見当がつきます。当社では電気料金の明細から、年間の削減見込み額とCO2削減量を無料で試算しています。

この記事を書いた人
株式会社Media Japan エネルギーソリューション担当
電気工事士資格を保有し、大規模施設への省エネシステムの導入から施工までを担当しています。記載の削減実績・目安額は、当社が実際に導入した施設のデータにもとづいています。個別の施設における削減額は、電気料金明細をもとに無料で試算いたします。
株式会社Media Japan/東京都豊島区東池袋1-25-6 PMO池袋2階
TEL 03-5985-5056 MAIL info@mediaj.jp
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