電力会社を切り替えたのに、請求額が思ったほど下がらなかった。あるいは初年度は下がったのに、二年目以降はほぼ元の水準に戻ってしまった。年間の電気料金が2,000万円を超えるような施設ほど、この経験を持つ担当者は少なくありません。
切り替えそのものは有効な手段です。単価だけを比べれば下がるケースは多くあります。それでも請求額が期待どおりに動かないのは、電気料金のうち切り替えで動く部分が、はじめから限られているからです。
この記事では、高圧で受電している施設を対象に、電気料金明細を「切り替えで動く項目」と「切り替えでは動かない項目」に仕分けます。そのうえで、切り替えを終えた施設が次に手をつけられる場所を示します。
電力会社の切り替えで動くのは料金単価であり、その単価に掛け合わされる契約電力(kW)や使用量(kWh)は、切り替えでは1つも変わりません。請求額は「単価 × 量」で決まるため、量の側に手をつけないかぎり、削減できる幅にはあらかじめ上限が生まれます。
高圧受電の電気料金は、大きく3つの層に分かれています。
このうち事業者を選ぶことで動くのは、1行目と2行目の「単価」の部分だけです。契約電力・使用量・賦課金の単価は、どの事業者と契約しても同じ値がそのまま乗ります。
手元の明細を見ながら、次の3つに分けてください。仕分けが終われば、切り替えで狙える金額のおおよその上限が、その場で見積もれます。
基本料金のうち切り替えで動くのは単価だけで、金額を大きく左右する契約電力(kW)は、施設の電気の使い方でしか変わりません。高圧受電の契約電力は実量制で決まり、直近12か月のうち最も使用電力が高かった30分の平均値(デマンド値)が、そのまま向こう1年の契約電力になります。
つまり、1年のうちたった30分の山が、12か月分の基本料金を決めています。この山の高さは、どの事業者と契約していても変わりません。
電力量料金の単価は、事業者ごとの差が最も出る部分です。一方、単価に加減算される燃料費調整額は、契約の型によって性質が変わります。固定型なら一定期間は動かず、市場連動型なら卸電力市場の価格をそのまま受けることになります。見積書の単価だけを比べてこの条項を読み飛ばすと、切り替えた後に想定と違う請求が届くことがあります。
契約書では、少なくとも次の3点を確認してください。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、法律にもとづいて全国一律の単価が毎年決まります。事業者を選んでも単価は変わらず、使用量(kWh)に比例して増えます。この行を減らす方法は、使用量そのものを減らすこと以外にありません。
すでに一度切り替えを済ませた施設では、次の切り替えで得られる幅は小さくなります。最初の切り替えで大きな単価差を取り切っているため、2回目以降は競争を経た単価どうしの比較になるからです。
加えて、単価の見直しは毎年の交渉が必要な性質の削減です。契約更新のたびに条件が変わり、燃料価格が上がれば単価も上がります。手元に残る削減額が、外部の相場に左右され続ける状態になります。
これに対して、契約電力(kW)を下げる形の削減は、施設の側に残ります。相場がどう動いても、いったん下がった契約電力は次の年にそのまま引き継がれます。
切り替えを終えた施設で次に動かせる余地が最も大きいのは、基本料金の側にある契約電力です。基本料金は「単価 × 契約電力」で決まるため、ピークの30分を抑えて契約電力が下がれば、その効果は12か月分の基本料金に効き続けます。
問題になるのは、ピークの抑え方です。設定温度を緩める、機器を順番に止めるといった運用での対応は、病院や商業施設のように快適性を落とせない施設では続きません。人が警報を見て判断する方式も、そのとき対応できる人が現場にいなければ値は抑えられません。
当社が提供しているのは、特許を取得した制御方式により、機器の立ち上がりが重なる瞬間だけを専用システムが自動で調整する方法です。室温や照度を落とさずに山の頂点だけを削るため、施設の使い勝手を変えないまま契約電力を下げやすくなります。年間の電気代削減実績は、施設の規模に応じて70万円〜720万円です。稼働実績は20年以上、導入実績は約3,500社・12,000施設にのぼります。
| 施設 | 年間電気料金 | 削減額の目安 | CO2削減量 |
|---|---|---|---|
| 介護施設・小規模病院 | 1,200万円前後 | 年 70〜120万円 | 約15〜25t |
| オフィスビル・市役所 | 2,000〜3,000万円 | 年 150〜300万円 | 約30〜60t |
| 総合病院・ホテル | 3,000〜5,000万円 | 年 250〜450万円 | 約50〜90t |
| 工場・大型商業施設 | 5,000万円以上 | 年 400〜720万円 | 約80〜150t |
切り替え以外の削減策を検討するときは、見積書の金額よりも先に確認しておきたい点があります。
同時に進められます。切り替えは単価に効く削減、契約電力の削減は使い方に効く削減で、対象が重なりません。いまの事業者と契約したまま、契約電力だけを下げることもできます。
あります。市場連動型で動くのは電力量料金の単価であり、基本料金は契約電力で決まる部分なので、ピークを抑えた効果はそのまま残ります。市場価格が高くなる時間帯は需要が集中する時間帯と重なりやすいため、その時間の使用を抑える意味はむしろ大きくなります。
基本料金と電力量料金の「単価」の欄です。この2つの単価に掛かる金額が、切り替えで動きうる範囲のおおよその上限になります。再エネ賦課金の行は、事業者を変えても動きません。
段階的に下がっていきます。契約電力は直近12か月の最大デマンド値で決まるため、過去の高い山が12か月を過ぎて外れるにつれて反映されます。
電力会社の切り替えで動くのは料金単価であり、契約電力(kW)と使用量(kWh)、そして再エネ賦課金の単価は動きません。切り替えで狙える削減には、この構造から来る上限があります。
切り替えを終えて頭打ちを感じているなら、次に見るのは基本料金の側にある契約電力です。ピークの30分を抑えて契約電力が下がれば、その効果は12か月分の基本料金に効き、相場の変動にも左右されにくくなります。まずは電気料金明細を、単価で動く部分と量で動く部分に分けるところから始めてください。