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空調は更新か制御か|大規模施設での判断基準と効果の違い

2026/08/29
記事

空調機の入れ替え見積もりが手元にあるが、金額が大きく、稟議に上げる前にもう一度考え直したい。設備をご担当の方から、そうしたご相談をいただくことがあります。

調べていくうちに「空調は制御でも省エネできる」という情報に行き当たり、そこで手が止まります。更新と制御のどちらを選べばよいのか。両方必要なのか。片方で足りるなら、どちらが先か。

この記事では、年間の電気料金が2,000万円以上の大規模施設を想定し、この判断を3つの数字で切り分ける方法を整理します。先に結論を書くと、更新と制御は競合する選択肢ではありません。効かせる先が違う打ち手であり、判断すべきは「どちらか」ではなく「どちらを先に置くか」です。

更新と制御は、下がる料金項目が違う

空調機の更新は主に電力量料金に効き、制御は基本料金と電力量料金の両方に効きます。同じ「空調の省エネ」でも、請求書のどこが動くかが違います。

高圧受電の請求額は、大きく基本料金と電力量料金に分かれます。基本料金は契約電力で決まり、その契約電力は、直近12か月のうち最も高かった30分間の平均使用電力で決まります。電力量料金は、実際に使った電力量に単価を掛けたものです。

高効率の機種に入れ替えると、同じ冷房能力を出すための消費電力が下がり、使った電力量そのものが減るため、電力量料金が下がります。ただし、朝の立ち上げで全台が一斉に動く構図が変わらなければ、30分の山の形はそのまま残ります。契約電力が変わらなければ、基本料金は1年間そのままです。

一方の制御は、30分という枠の中で運転を融通し、山の頂だけを削ります。契約電力が下がれば、基本料金は12か月にわたって下がり続けます。抑えた分だけ運転時間も減るため、電力量料金にも効きます。

一般に、事務所ビルでは空調が消費電力の約48%を占めるとされています(資源エネルギー庁の推計)。空調はどちらの打ち手でも主戦場ですが、届く先が違います。

判断を分ける3つの数字

どちらを先に置くかは、電気料金の明細から読み取れる3つの数字で決められます。

① 年間請求額に占める基本料金の比率

12か月分の明細から基本料金だけを合計し、年間の請求総額で割ります。この比率が3割を超えていれば、ピークを抑える打ち手の効き代が大きい施設です。更新だけでは、この3割の部分はほとんど動きません。

逆に、基本料金の比率が低く、電力量料金が請求の大半を占めている施設では、使用量そのものを減らす更新側の打ち手が主役になります。

② 12か月の最大需要電力の並び

明細に載っている月ごとの最大需要電力を、12か月分並べます。突出して高い月が1つか2つしかなければ、その月の山を削るだけで契約電力が下がります。

12か月がほぼ横並びで高い場合は、山を削る余地が限られます。常時流れている電力そのものを下げる必要があり、機器の効率が問題になります。

③ 機器の残存年数と、止められる工事の窓

業務用空調の法定耐用年数は、冷凍機の出力が22kW以下で13年、22kWを超えると15年です。実際の寿命は一般に10〜15年、補修部品の保有期間は製造終了からおよそ9〜10年とされています。設置から10年を超えた機器が多い施設では、更新の検討自体は避けられません。

あわせて確認したいのが、停止を伴う工事の窓が取れるかどうかです。空調機の入れ替えは、対象の系統を止めて行います。病院・介護施設・宿泊施設・24時間稼働の工場では、この窓を確保すること自体が最大の制約になります。

問い 1 基本料金は年間請求額の3割を超えるか いいえ 更新を先に検討する はい 問い 2 突出する月は1〜2か月に限られるか いいえ 更新と制御を併せて検討する はい 問い 3 設置から10年を超えた機器が多いか はい 更新の計画に制御を織り込む いいえ 制御を先に入れる ※ 系統ごとに答えが分かれる施設もあります

図1:更新と制御のどちらを先に置くかは、明細から読める3つの問いで振り分けられます。
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更新が向く施設、制御が向く施設

設置から10年を超えた機器が多く、12か月の使用量が通年で高い施設は更新が先です。機器が比較的新しく、特定の月だけピークが突出している施設は制御が先です。

両者の違いを、5つの観点で並べます。

空調機の更新 制御の追加 下がる料金項目 電力量料金 基本料金と電力量料金 工事で施設を止めるか 対象系統の停止が必要 多くは止めずに施工 費用の出方 導入時にまとめて発生 初期費用0円のスキームあり 効果が現れる時期 入れ替えた系統から順に 契約電力が下がった月から 前提となる機器の状態 寿命が近い機器がある 年式を問わず後付け ※ 施工の可否と停止の要否は、系統の分かれ方と既設配線によって変わります

図2:同じ空調の省エネでも、止める必要の有無と費用の出方が大きく異なります。

費用の出方も違います。業務用空調機の入れ替え費用は、一般に1台あたり数十万円から、能力の大きな機種では100万円を超えるとされています。大規模施設では対象台数がまとまるため、更新は資本的支出として一度に計上されます。

制御側は、当社の場合は初期費用0円です。削減できた電気料金の範囲内でお支払いいただくスキームのため、設備投資の枠を使わずに始められます。

多くの施設では、順番の問題に落ち着く

更新と制御は二者択一ではなく、「制御を先に入れて、更新は機器の寿命に合わせる」順番に落ち着く施設が多くあります。

理由は3つあります。1つめは、時期を選べるかどうかの違いです。更新の時期は機器の寿命という外部の事情で決まりますが、制御は今の機器のままで始められます。更新までの数年間、基本料金の削減を先に積み上げられます。

2つめは、更新の精度が上がることです。制御を入れると、30分ごとの使用電力が記録として残ります。実際の負荷の出方が分かるため、更新時の機器容量を実測にもとづいて決められます。カタログ上の最大負荷から容量を積むと過大になりやすく、過大な機器は低負荷での効率が落ちます。

3つめは、更新後も制御が働き続けることです。制御は空調機の外側から運転を調整する仕組みのため、機器を入れ替えても引き継げます。更新で電力量料金が下がり、制御で基本料金が下がるという形で、効く先が重ならずに残ります。

機器の寿命に沿った時間の流れ 導入時 10年目・更新 15年目 更新の時期を 待つ場合 請求はそのまま 電力量料金が下がる 制御を先に 入れる場合 基本料金が下がる 基本料金が下がる 電力量料金が下がる この期間の差が積み上がる ※ 更新の時期は機器の状態によって前後します。図は寿命の目安に沿った例です

図3:制御は機器の寿命を待たずに始められるため、更新までの期間に基本料金の削減が積み上がります。

導入前に確認しておきたいこと

どちらを進める場合でも、見積もりを受け取る前に確認したい点があります。

  • 誰が施工するのか:受電設備や空調の制御に触れる工事には、電気工事士の資格が必要です。契約先の会社が自社で施工するのか、下請けに出すのかを確認してください。当社は、電気工事士資格を持つ自社スタッフが施工します。
  • 既存の空調に後付けできるか:メーカーが混在している施設、年式がばらついている施設では、制御の入れ方が変わります。現地調査の段階で、対象にできる系統とできない系統を出してもらってください。
  • 更新見積もりの内訳:機器本体だけでなく、撤去処分費、搬入経路の養生、既設の冷媒配管を流用できるか、試運転と調整までが含まれているかを確認します。配管の流用可否は金額を大きく動かします。
  • 効果をどう測るか:施工後に何をもって効果とするのかを、契約前に決めておきます。当社は、削減できた電気料金とCO2削減量を数値でご報告しています。

よくある質問

制御を入れると、室温を我慢することになりませんか?

設定温度を緩めるのではなく、30分の枠の中で運転のタイミングをずらす仕組みです。室温の変動を許容できる範囲は、現地調査の段階で施設ごとに設定します。手術室やサーバー室のように変動を許容できない系統は、対象から外して運用します。

空調機のメーカーがばらばらでも制御できますか?

できる場合が多くあります。空調機の内部制御ではなく、外側から電力の流れを見て運転を調整する方式のためです。ただし、対象範囲は系統の分かれ方によって変わるため、現地調査で確認します。

更新したばかりの施設でも、制御の余地はありますか?

あります。高効率機に入れ替えても、複数台が同じ時刻に立ち上がる構図が残っていれば、30分のピークは生まれます。基本料金の比率が3割を超えているなら、更新済みの施設でも確認する価値があります。

更新と制御を同時に進めることはできますか?

可能ですが、順番を決めておくことをおすすめします。同時に着手すると、どちらの効果で請求額が下がったのかを切り分けられなくなります。制御を先に入れて基本料金の変化を確認してから更新に進むと、更新の効果も測りやすくなります。

まとめ

空調の更新と制御は、下がる料金項目が違う打ち手です。更新は電力量料金に、制御は基本料金と電力量料金の両方に効きます。

どちらを先に置くかは、年間請求額に占める基本料金の比率、12か月の最大需要電力の並び、機器の残存年数と工事の窓という3つで判断できます。基本料金の比率が3割を超え、突出した月が1つか2つに限られているなら、制御を先に置く余地があります。

当社は、初期費用0円で導入いただける省エネシステムを、約3,500社・12,000施設に提供してきました。電気料金の明細をご用意いただければ、お使いの施設で年間いくら下がる見込みか、CO2削減量とあわせて無料で試算いたします。

この記事を書いた人
株式会社Media Japan エネルギーソリューション担当
電気工事士資格を保有し、大規模施設への省エネシステムの導入から施工までを担当しています。記載の削減実績・目安額は、当社が実際に導入した施設のデータにもとづいています。個別の施設における削減額は、電気料金明細をもとに無料で試算いたします。
株式会社Media Japan/東京都豊島区東池袋1-25-6 PMO池袋2階
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