空調の自動制御を調べ始めると、VAVやCAV、デマンドコントローラーなど聞き慣れない言葉が次々に出てきて、結局どれが自施設に合うのか判断がつかない。そんな状態でこの記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
空調の自動制御について調べると、制御方式の分類やメリット・デメリットの説明が中心のページが多く見つかります。ただし、大規模施設の担当者が本当に知りたいのは「その制御で電気料金の何が動くのか」という一点のはずです。
この記事では、空調の自動制御のなかでも、電気料金の基本料金を実際に動かす「デマンド値の管理」に絞って仕組みを整理します。年間の電気料金が2,000万円以上(月およそ170万円以上)の規模を想定していますが、高圧受電(契約電力50kW以上)の施設であれば考え方は共通です。
空調の自動制御には、送風量を細かく調整する方式や、室温センサーと連動する方式など、複数の考え方があります。ただし方式の違いを比較する前に、その制御が「快適性を保つための微調整」なのか「電気料金の基本料金を動かすための制御」なのかを分けて考える必要があります。両者は目的が異なるため、比較の土台が違います。
高圧受電の電気料金は「基本料金」と「電力量料金」で構成されており、電力会社やプランの見直しで動くのは主に電力量料金の単価です。基本料金は「契約電力」という別の数値で決まっており、これを動かすには、空調の細かい温度調整ではなく、デマンド値(30分ごとの平均使用電力)そのものを管理する制御が必要になります。
すでにタイマーやスケジュール運転で空調を自動化している施設も多いはずです。ただしそれは決まった時刻に運転を切り替える仕組みであり、そのときどきの使用電力の実績値を見ているわけではありません。デマンド値を管理する制御とは、監視している対象そのものが違います。
契約電力は申告制ではなく、実績で決まります。30分ごとの平均使用電力(デマンド値)を計測し、直近12か月のうち最も高かった値が、そのまま向こう1年の契約電力になる仕組みです。空調の稼働と他の設備の負荷が重なる瞬間に、この値は押し上げられます。
年間のほかの時間帯をどれだけ丁寧に節電しても、この一点が下がらなければ基本料金は動きません。逆に言えば、ピークになる30分をいくつか削れば、基本料金が年間を通して下がることが見込めます。空調の自動制御を「基本料金対策」として位置づけるなら、狙うべきはここです。
デマンド値を管理する制御は、空調を止めることではありません。専用システムが施設全体の使用電力を常時計測し、30分の平均値が目標を超えそうになったときだけ、複数ある空調室外機の圧縮機を数分ずつ順番に休ませます。
1台あたりの停止は短時間で、しかも同時に休ませるのは一部だけです。送風は続いており、室温は数分では動きません。職員が操作する必要はなく、設定した目標値に沿ってシステムが自動で判断します。この「止める範囲の細かさ」こそが、快適性を保ったまま基本料金を動かせるかどうかを分ける部分です。
当社が扱う制御方式は特許を取得しており、稼働実績は20年以上、これまでに約3,500社・12,000施設で稼働しています。
どれくらい下がるのかは、年間の電気料金の規模からおおよその見当がつきます。当社がこれまでに導入した施設の実績にもとづく目安は次のとおりです。
| 施設 | 年間電気料金 | 削減額の目安 | CO2削減量 |
|---|---|---|---|
| 介護施設・小規模病院 | 1,200万円前後 | 年 70〜120万円 | 約15〜25t |
| オフィスビル・市役所 | 2,000〜3,000万円 | 年 150〜300万円 | 約30〜60t |
| 総合病院・ホテル | 3,000〜5,000万円 | 年 250〜450万円 | 約50〜90t |
| 工場・大型商業施設 | 5,000万円以上 | 年 400〜720万円 | 約80〜150t |
実際の削減額は、設備の構成とデマンド値の出方によって変わるため、正確な数字は電気料金明細から個別に試算します。
空調の自動制御を検討するときは、見積書の金額より先に次の四点を確認しておくと判断を誤りにくくなります。
空調の自動制御は、方式の分類を比較するだけでは電気料金への効果が見えません。基本料金を実際に動かせるかどうかは、デマンド値、つまり30分ごとの使用電力のピークを管理できているかどうかで決まります。
まずは自施設の電気料金明細で、基本料金と電力量料金がそれぞれいくらなのか、そして契約電力が何kWになっているのかを確認するところから始めてください。