市役所や公民館、体育館、図書館など、複数の公共施設の電気代をまとめて見ている立場だと、省エネという言葉ほど扱いにくいものはないかもしれません。民間企業のように「効果が出そうだから来月から始める」とはいかず、予算は単年度で組まれ、一定額を超える支出には議会の承認が要り、原資は税金です。効果が曖昧なまま予算要求すれば、説明責任を問われるのはこちらです。
加えて、窓口業務や住民サービスは止められません。空調を我慢させる、照明を間引くといった対策は反発につながりやすく、簡単には踏み切れない事情もあります。
本記事では、この制約を前提に、電気代のどこに伸びしろがあるか、単年度予算でどう進めるのが現実的か、複数施設を抱える立場でどこから着手すべきかをまとめます。
高圧で受電している市役所や公共施設では、電気代の大きな部分を占める基本料金が、日々の節電量ではなく契約電力という別の数値で決まっています。契約電力は、直近12か月のうち最も使用電力が高かった30分間の平均値(デマンド値)で自動的に決まる仕組みで、これを実量制と呼びます。契約電力50kW以上の施設の多くがこの方式です。
つまり、1年のほとんどの日を節電できていても、真夏の午後や式典・選挙といった行事で一度だけ電力が跳ね上がると、その30分の記録が以後12か月間の基本料金を決めてしまいます。窓口の消灯や空調フィルターの清掃といった日常的な節電は電力量料金(使った分の料金)には効きますが、基本料金にはほとんど効きません。ここを分けないと「節電しているのに電気代が下がらない」状態が続きます。
証明書発行の繁忙期や選挙事務、式典で空調・照明・OA機器が一時的に集中する施設は、その一瞬の山が基準になりやすい構造です。負荷が重なる30分をどう抑えるかが、基本料金を左右する最大のポイントです。
費用をかけずに始められる運用改善と、投資が必要な設備更新は効果の出方が違うため、まず運用改善で足元を整えてから設備投資の要否を判断するのが現実的な順番です。空調の設定温度の見直しや不要時消灯は電力量料金には効きますが、前述のとおり基本料金にはほとんど効きません。契約電力そのものを下げるには、山になる30分だけを狙って抑える設備側の対策が必要です。
ここで住民サービスへの配慮が生きてきます。空調を止める、照明を間引くといった我慢を伴う対策は反発が出やすく、継続もしにくいものです。一方、デマンド値を常時監視し、上限に近づいた30分だけ空調熱源の運転を自動で短時間調整する専用システムであれば、窓口業務や室温を変えずに契約電力だけを抑えられます。当社が扱うシステムは、この制御方式で特許を取得しています。
設備投資として起案すると、予算要求から議会承認、執行まで年度をまたぐ調整が必要になりますが、初期費用をかけず削減できた電気料金の範囲内で支払う方式なら、翌年度の予算編成を待たずに検討を進めやすくなります。公共施設の省エネ投資が進みにくい理由のひとつは、効果が不確かな段階で多額の設備投資を予算化しなければならない点にあります。
当社では、初期費用0円で導入し、削減できた電気料金の一部を継続的にお支払いいただくスキームを用意しています。効果が出なければ負担も生じない考え方のため、実績のない取り組みを説明する際のハードルを下げやすくなります。ただし会計処理の扱いは自治体ごとの規程によって異なるため、財政担当部署への確認は別途必要です。
市役所本庁舎だけでなく、公民館・体育館・図書館・保育所など複数の施設を横断的に見ている担当者にとっては、どの施設から着手するかの優先順位づけも課題です。判断材料になるのは、施設ごとの年間電気料金の規模です。
当社の導入実績にもとづく、施設規模別の削減目安は次のとおりです。
| 施設 | 年間電気料金 | 削減額の目安 | CO2削減量 |
|---|---|---|---|
| 介護施設・小規模病院 | 1,200万円前後 | 年 70〜120万円 | 約15〜25t |
| オフィスビル・市役所 | 2,000〜3,000万円 | 年 150〜300万円 | 約30〜60t |
| 総合病院・ホテル | 3,000〜5,000万円 | 年 250〜450万円 | 約50〜90t |
| 工場・大型商業施設 | 5,000万円以上 | 年 400〜720万円 | 約80〜150t |
本庁舎や大規模な文化施設など、年間電気料金が2,000万円を超える施設が候補として挙がりやすくなります。ただしあくまで目安であり、実際の削減額は施設ごとのデマンド値の変動幅によって変わります。複数施設をお持ちの場合は、電気料金明細を施設単位でお預かりし、試算したうえで着手順を検討する進め方をおすすめしています。
提案を検討する段階では、金額だけでなく次の点も確認しておくと、あとの調整が少なくなります。
提案した会社がそのまま施工するのか外部委託するのかで、工事の質や不具合時の対応速度が変わります。電気工事士の資格を持つスタッフが在籍しているかは確認する価値があります。当社は有資格の自社スタッフが施工し、外部委託は行っていません。
体育館や文化施設など指定管理者が運営する施設では、電気料金の契約主体が自治体か指定管理者かで意思決定者が変わります。早い段階で施設所管課と指定管理者のどちらが窓口になるか整理しておくとスムーズです。
多くの工事は窓口業務や施設利用を止めずに進められますが、受変電設備の切り替えを伴う場合は短時間の停電が必要になることがあります。現地調査の段階で有無を確認しておくと告知の準備がしやすくなります。
削減額とCO2削減量を数値の報告書として受け取れるかも確認したい点です。議会や住民への説明、環境報告に公表する際そのまま使える資料になります。当社は削減額とあわせてCO2削減量を数値でご報告しています。
年間の電気料金規模が大きい施設ほど削減額も大きくなりやすいため、本庁舎や大規模施設から検討するのが一般的です。複数施設をお持ちの場合は、施設ごとに明細で試算したうえで着手順を決めることをおすすめします。
現地調査や試算の依頼自体は予算執行を伴わない場合が多く、検討を始めること自体は年度途中でも可能です。初期費用0円のスキームなら予算要求の時期を待たずに進めやすくなりますが、会計処理の扱いは自治体の規程によるため、財政担当部署への確認をおすすめします。
多くの工事は稼働を止めずに進められますが、受変電設備の切り替えを伴う作業は短時間の停電が必要になることがあります。現地調査の段階で影響する作業の有無を確認できます。
導入は可能ですが、契約主体が自治体か指定管理者かで意思決定の窓口が変わります。早い段階で、施設所管課と指定管理者のどちらが窓口になるか整理しておくと進めやすくなります。
市役所や公共施設の電気代が下がりにくいのは、基本料金が日々の節電量ではなく、1年のうち最も高かった30分の実績(契約電力)で決まるためです。窓口の消灯や空調温度の調整では、この部分にほとんど効果が及びません。
単年度予算・議会承認・住民サービスへの配慮という自治体特有の制約があるからこそ、初期費用をかけず影響も与えにくい形で契約電力を抑える方法には合理性があります。複数施設を管理している場合は、電気料金規模の大きい施設から明細にもとづき試算し、着手順を決めるのが現実的です。
まずは電気料金明細をもとにした無料試算から、自施設でどのくらいの効果が見込めるかを確認してみてください。