デマンド監視装置のカタログを何社分か並べて、機能欄を見比べている段階かもしれません。予測方式、警報の出し方、データの保存期間。並べてみるとどれも似たようなことが書いてあり、決め手がないまま時間だけが過ぎていきます。
ただ、装置選びで結果が分かれるのは、機能欄の差ではありません。分かれ目になるのは、警報が鳴ったあとに、その施設で実際に何が起きるかです。深夜に鳴った警報を受け取る人がいない施設や、受け取っても切ってよい設備が一つも見つからない施設では、どれだけ機能の多い監視装置を入れても契約電力は動きません。
この記事では、年間の電気料金が2,000万円以上の大規模施設を想定して、カタログを比べる前に確かめるべきことと、監視だけで足りるのか制御まで必要なのかを分ける基準を整理します。
デマンド監視装置の役割は、30分ごとの使用電力を計測し、目標値を超えそうなときに知らせるところまでです。実際に電力を下げるのは、警報を受け取った人の操作か、警報と連動して機器を止める制御装置のどちらかになります。
装置が持つ機能は、下から計測・警報・制御の三つの層に分けて考えると整理しやすくなります。計測層は、受変電設備の計器用変成器から信号を取り込み、30分ごとの平均使用電力を記録する部分です。警報層は、目標値に近づいたときにブザーやパトライト、メールで知らせる部分です。ここまでを担う製品が「デマンド監視装置」と呼ばれます。
制御層まで備えた製品は「デマンドコントローラー」と呼び分けられ、空調や照明、生産設備へ停止信号を直接出します。呼び名は製品によってまちまちですが、制御層を持つかどうかが実質的な分かれ目です。
監視型で足りるのは、警報が勤務時間内に鳴り、その場ですぐ止められる設備を用意できる施設です。夜間や休日に山が出る施設、止めてよい設備が見つからない施設では、監視型を入れても数字が動きにくくなります。
判断の材料は、装置のカタログではなく自施設の実績にあります。多くの電力会社は、契約者向けのウェブサービスで30分ごとの使用電力の実績を提供しています。そこから確かめるのは次の二点です。
この二点の組み合わせで、必要な装置の層が決まります。たとえば医療機関や宿泊施設のように、患者や利用者がいる時間帯に空調も給湯も止められない施設では、警報を受け取る人がいても打つ手がありません。この場合、警報層で止まる製品を選ぶと、記録は増えても契約電力は下がらないという結果になりがちです。
選べる製品の範囲は、計測点の取り方・通知の届き先・停止信号の受け口・データの持ち出し方という四つの条件で先に絞られます。ここを確かめずに機能一覧を比べると、契約直前になって工事や改造が追加で必要になることがあります。
装置は、受変電設備の計器用変成器から信号を取り込みます。既設の設備にパルス出力の端子が残っていればそこに接続できますが、無い場合は取り付け工事が必要です。停電を伴う作業が発生するかどうかも、多くはここで決まります。
ブザーやパトライトは、その場にいる人にしか届きません。メールやアプリで遠隔に飛ばせる製品もありますが、確かめたいのは届く先ではなく、届いた人が設備を止める権限を持っているかです。委託先の警備員に届いても、空調を止める判断はできません。
制御まで進む場合、空調機や照明盤に外部からの停止信号を受ける端子が必要です。古い機器では端子が無く、中継のための機器を挟む工事が加わります。将来の拡張を考えるなら、現時点で受け口のある設備がどれだけあるかを調べておくと判断が楽になります。
省エネ法の定期報告やCO2排出量の算定に使う場合、事業者側の画面でしか見られない形式だと手間が増えます。使用量の実績を表計算ソフトで扱える形式で取り出せるか、契約が終わったあとに過去のデータが残るかを確認しておいてください。
見積書に並ぶのは、導入時に一度だけ出る費用であることが多くなります。通信費や保守、目標値の再調整といった毎年出続ける費用は、別に確認する必要があります。装置本体の価格だけで比べると、数年単位では順位が入れ替わることがあります。
もう一つ、装置を買わない選び方もあります。削減できた電気料金の範囲内で支払う方式なら、装置代と工事費を施設側が先に負担しません。当社はこの形で初期費用0円の導入を扱っており、約3,500社・12,000施設への導入と20年以上の稼働実績があります。年間の削減額は施設の規模によって70万円から720万円、CO2排出量は年間数十トンが目安です。
デマンド監視は、契約電力50kW以上の高圧受電で、契約電力が実績によって決まる施設で効果が出やすくなります。低圧受電では契約の決まり方が異なるため、同じ考え方はあてはまりません。
過去の実績を確かめる用途には十分です。ただし翌日以降に見られる形式が多く、超えそうな時点で知らせる機能はありません。実績の把握と、その場での警報は別の役割だとお考えください。
装置そのものが下げるわけではありません。ピークを抑えた実績が積み上がって初めて契約電力に反映されます。装置は、その実績を作るための材料と合図を用意するものです。
既設の計測をそのまま使える場合と、信号の受け口が無く計測から入れ替える場合があります。どちらになるかは現地調査で確認できますので、既設の型式が分かる資料をご用意ください。
デマンド監視装置の選定は、機能欄の比較から始めると答えが出にくくなります。先に確かめるのは、警報が鳴る時刻と、そのとき止めてよい設備があるかどうかです。この二つで監視型と制御型のどちらが要るかが決まり、そのあとに計測点・通知先・停止信号の受け口・データの持ち出し方という施設側の条件で候補が絞られます。
費用は装置代だけでなく、毎年出続ける分まで並べて比べてください。装置を買わずに削減額の範囲で支払う方式も選択肢になります。判断に迷う場合は、直近12か月の電気料金明細をご用意いただければ、削減の見込みとあわせて必要な層をお伝えします。