「電気代の値上げ通知が届いた」「来期の予算を組むにあたって、電気代がどこまで上がるか読めない」——そんな相談を受ける機会が増えています。すでに照明のLED化や空調の効率化に取り組み、電力会社の切り替えも検討済みという担当者も少なくありません。それでも電気代の上昇が止まらないのは、値上げの主な要因が企業側でコントロールできない部分にあるためです。
この記事では、なぜ節電や電力会社の切り替えだけでは限界があるのか、その理由と、企業側で構造的に手を打てる数少ない対策について解説します。
電気代の値上げは、燃料費調整額の変動・再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の上昇・政府補助の終了という3つの要因が中心です。いずれも電力会社や利用者側の努力だけでは吸収しきれない、制度・市場側の要因です。
電力会社を切り替えれば単価の見直しは可能ですが、これらの要因は電力会社ごとの差が出にくい部分でもあり、切り替えによる削減幅には限界があります。値上げ通知のたびに電力会社の比較を繰り返すのではなく、自社の電気料金の構造そのものに目を向ける必要があります。
電気料金は、使った分だけかかる「電力量料金」と、契約電力にもとづいて決まる「基本料金」の2つで構成されています。節電や設備の省エネ化は電力量料金を下げる効果がありますが、基本料金は使用量をいくら減らしても、契約電力そのものを見直さない限り下がりません。
高圧電力で受電している施設の多くは、直近12か月のうち最も電力を使った30分間の実績(デマンド値)で契約電力が決まる仕組みになっています。一度でも高いデマンド値を記録すると、その水準が一定期間、基本料金の根拠として固定されてしまいます。
基本料金を下げる対策の中心は、電力需要が跳ね上がる瞬間だけを検知して自動的に抑える「デマンド制御」です。照明や空調のように個々の設備を省エネ化するのではなく、複数の設備の稼働タイミングが重なる瞬間そのものを平準化する考え方です。
特許を取得した制御方式にもとづき、施設全体の電力需要を常時監視し、契約電力の水準に近づいたタイミングで自動的に制御をかけることで、業務や生産、空調の設定温度を犠牲にすることなく、基本料金の根拠になる30分の山を抑えられます。値上げのたびに電力会社を比較検討するのに比べ、一度導入すれば継続的に効果が積み上がる対策です。
目安は、年間の電気料金がおよそ2,000万円以上(月およそ170万円以上)、契約電力50kW以上で高圧電力を受電している施設です。施設の規模によって、削減できる額の目安は次のように変わります。
| 施設 | 年間電気料金 | 削減額の目安 | CO2削減量 |
|---|---|---|---|
| 介護施設・小規模病院 | 1,200万円前後 | 年 70〜120万円 | 約15〜25t |
| オフィスビル・市役所 | 2,000〜3,000万円 | 年 150〜300万円 | 約30〜60t |
| 総合病院・ホテル | 3,000〜5,000万円 | 年 250〜450万円 | 約50〜90t |
| 工場・大型商業施設 | 5,000万円以上 | 年 400〜720万円 | 約80〜150t |
削減できる額は施設の設備構成や負荷の出方によって幅がありますが、年間の電気代削減実績としては70万円〜720万円という範囲になることが多く、あわせて年間数十トン規模のCO2排出量の削減にもつながります。
デマンド制御の導入を検討する際は、次の点を事前に確認しておくことをおすすめします。
どちらか一方を選ぶ必要はありません。電力会社の切り替えは電力量料金の単価を見直す対策、デマンド制御は基本料金を下げる対策で、対象としている料金の部分が異なります。両方を組み合わせることで、それぞれの効果を活かせます。
初期費用0円のスキームがあり、削減できた電気料金の範囲内で支払う形になります。契約前にまとまった出費が発生しないため、値上げが続く中でも検討を始めやすくなっています。
契約電力は直近12か月の実績で決まるため、ピークを抑えた効果は翌月以降の請求から段階的に反映されていきます。現地調査の段階で、おおよその反映時期の目安もあわせてご案内しています。
デマンド制御は電力量料金の単価変動そのものを止める対策ではありませんが、基本料金部分を抑える効果は単価が上がっても変わりません。むしろ単価が上がるほど、電力量料金・基本料金の両面から見直す意味は大きくなります。
電気代の値上げは、燃料費調整額や再エネ賦課金の上昇、政府補助の終了といった、企業側でコントロールできない要因が中心です。節電や電力会社の切り替えだけでは、電気料金のうち電力量料金の部分にしか効果が及ばず、契約電力で決まる基本料金は下がりません。値上げの通知を受けるたびに対応に追われるのではなく、基本料金という構造そのものに対策を打つことが、長期的な負担軽減につながります。まずは電気料金の明細をもとに、どの程度の削減余地があるかを確認することから始めてみてください。