「見えない」を支える

「見えない」を支える

株式会社Media Japan

「見えない」を支える

電力使用量の見える化は効果があるか|計測だけで電気代が下がらない理由

2026/08/20
記事

電力使用量の見える化を導入すれば電気代が下がる——そう聞いて計測システムを入れたものの、グラフを眺めるだけで終わっている。あるいは、導入を決める前に本当に効果があるのかを確かめたい。この記事は、そうした状況にある施設管理のご担当者に向けて書いています。

先に結論を書きます。見える化は削減の入口としては正しい選択ですが、計測しただけで料金が下がることはありません。ここを取り違えると、費用をかけて計測環境を整えたのに請求書が変わらない、という結果になります。

以下では、見える化で本当に得られるものは何か、データのどこを見れば削減余地を判断できるのかを、年間電気料金2,000万円以上の大規模施設を前提に整理します。

電力使用量の見える化そのものに、電気代を下げる力はない

見える化は「測る」技術であって、「減らす」技術ではありません。体温計が熱を下げないのと同じで、料金を動かすのは計測のあとに取る行動です。

では意味がないのかというと、そうではありません。価値は、削減の打ち手を「勘」から「根拠」に変えられる点にあります。計測がなければ、照明の交換や設定温度の変更といった一般的な対策を、自分の施設で効くか分からないまま試すことになります。

もうひとつ重要なのが、高圧受電(契約電力50kW以上)の施設では、電気料金が性質の違う2つに分かれている点です。使った電力量に応じて増減する電力量料金と、契約電力で決まる基本料金です。基本料金は使用量を減らしても自動的には下がりません。契約電力は申告制ではなく、直近12か月のうち最も使用電力が高かった30分の実績(デマンド値)で決まるからです。

契約電力(=基本料金の根拠) 見える化で最初に探すのは、この30分の山 0時 6時 12時 18時 24時 使用電力 ※ 30分ごとの平均使用電力(デマンド値)のイメージです

図1:計測データで探すべきなのは1日の使用量の合計ではなく、直近12か月で最も高かった30分です。

つまり見える化の効果は、無駄な使用量が見つかることだけではありません。基本料金を押し上げている一瞬がいつ、なぜ起きているのかを特定できることのほうが、金額としては大きく効きます。

見える化したデータで、最初に見るべき3つの数字

最大デマンド値、その値が出た日時、そして契約電力に迫る山が年に何回出ているか。この3つを押さえれば、削減余地があるかどうかはおおむね判断できます。グラフを端から眺める必要はありません。

① 直近12か月の最大デマンド値

これが今の基本料金の根拠です。電気料金の明細にも記載されていますが、見える化のデータなら、その値がどの月に出たかまで一目で分かります。契約電力と実際の最大デマンド値に開きがあるなら、契約内容そのものに見直し余地があります。

② 最大値が記録された日付と時刻

次に、その30分に何が動いていたかを突き止めます。始業直後の空調の一斉立ち上げ、給湯設備と厨房設備の重なり、点検で普段止めている機器を動かした——理由は施設ごとに違います。この特定ができていない状態で節電に着手すると、料金に効かない場所を削ることになります。

③ 契約電力に近い山が、年に何回出ているか

いちばん見落とされる視点です。同じ「最大デマンド値が高い」でも、その水準の山が年1回なのか毎日なのかで、打つべき手はまったく変わります。年に数回しか出ない山なら、その数回を抑えるだけで契約電力が下がる可能性があります。毎日出ているなら、運用の工夫ではなく負荷そのものの制御が必要になります。

ピークの出方は3つの型に分かれ、型ごとに次の一手が変わる

ピークが「毎日型」「季節型」「突発型」のどれに当てはまるかで、次に投じるべき手間と費用の見当がつきます。

‥‥ 契約電力の水準 ① 毎日型 ② 季節型 ③ 突発型 同じ時間帯に山が出る 特定の時期に山が集中 年に数回だけ山が出る ※ 縦軸は使用電力、横軸は時間の経過です。実際の波形は施設の設備構成によって変わります

図2:同じ「デマンド値が高い」でも、山の出方によって次に取るべき手は変わります。

① 毎日型|同じ時間帯に山が繰り返し出ている

始業前後や昼過ぎなど、決まった時間帯に山が出る型です。設備が本来の使い方をした結果なので、運用ルールで抑えようとすると現場に無理が出ます。空調や給湯といった大きな負荷の稼働タイミングを、機器側で自動的にずらす仕組みが向いています。

② 季節型|特定の時期だけ山が集中する

真夏と真冬に山が寄る型です。年間を通せば余裕があるのに、数か月の負荷が1年分の基本料金を決めています。ピークの時期が事前に分かるため、その期間に絞って制御を効かせればよく、投資対効果が読みやすいのが特徴です。

③ 突発型|年に数回だけ跳ね上がっている

普段は余裕があるのに、点検やイベント、設備の同時立ち上げなど年に数回の出来事で山が出る型です。その数回のために1年分の基本料金を高い水準で払い続けている、いちばんもったいない状態です。原因をデータから特定し、その瞬間だけ負荷を分散できれば、契約電力を下げられる可能性があります。

お使いの施設で、いくら下がるか無料で試算します
電気料金の明細をご用意いただければ、年間の削減見込み額とCO2削減量を算出してご提示します。ご相談だけでも歓迎です。

サービスの詳細を見る →

見える化で下がるのは主に電力量料金、基本料金は別の対策が要る

見える化と運用改善で削れるのは使用量、つまり電力量料金の側です。基本料金を下げるには、ピークの瞬間そのものを抑える必要があります。ここを分けて考えないと、削減の伸びしろを見誤ります。

使っていない場所の照明を消す、退勤後に機器を落とすといった運用改善は電力量料金に効きます。一方、基本料金は最も高かった30分だけで決まるため、他の時間をどれだけ節約しても、その30分が下がらない限り動きません。使用量を減らしたのに請求額の下がり方が思ったほどではなかった、という声の多くは、この構造から来ています。

導入前 導入後 この分が下がる 基本料金(契約電力で決まる) 電力量料金 ※ 削減幅は施設の設備構成と負荷の出方によって異なります

図3:ピークを抑えて契約電力が下がると、使用量を我慢しなくても基本料金の側が下がります。

意識向上で下がった分が、半年経つと戻る理由

見える化の直後は、現場の関心が高まって使用量が目に見えて下がることがあります。ただし人の努力に依存した削減は、担当者の異動や繁忙期を経て元の水準に近づきます。続けられる部分と続かない部分を早い段階で切り分け、続かない部分は自動的に効く仕組みに置き換えておくことが、投資を無駄にしない条件です。

導入前に確認しておきたいこと

見える化の導入、あるいはその次の制御まで進めるかを判断する前に、次の点を確認しておくと判断がぶれません。

  • 計測の粒度:施設全体だけか、系統別・設備別まで分けるのか。全体だけでは、山が出た30分に何が動いていたかを特定できない場合があります
  • データを読む人がいるか:計測環境だけ整えても、読む人と時間がなければ活きません。読み解きと提案まで依頼できるかを確認してください
  • 誰が施工するのか:受変電設備まわりの作業は電気工事士の資格が必要です。自社の有資格者が施工するのか外部に再委託するのかで、工期と連絡体制が変わります。当社では電気工事士資格を持つ自社スタッフが施工を担当しています
  • 費用負担がいつ発生するか:初期費用0円のスキームでは、削減できた電気料金の範囲内で支払う形になるため、契約前にまとまった出費が発生しません
  • 削減量の報告があるか:導入後に電気代の削減額とCO2排出量の削減量が数値で報告されるかで、稟議の説明のしやすさが変わります

よくある質問

データは、どれくらいの期間ためれば判断できますか?

ピークの型を見極めるには、季節をまたいだデータがあるほど確実です。ただし最大デマンド値は電気料金の明細からも確認できるため、計測を始める前でも一次判断は可能です。

すでに計測システムが入っています。入れ替えが必要ですか?

既存の計測環境があるなら、そのデータを使って削減余地を判断できます。現地調査の際に、既存システムの構成もあわせて確認します。

デマンド値を抑えると、施設の快適性や稼働に影響は出ませんか?

設定温度を緩めたり稼働を止めたりするのではなく、複数の設備が同時に立ち上がる瞬間をずらす方式のため、施設の使い方を変えずに済むことがほとんどです。影響が出そうな設備は、現地調査の段階で対象から外すか制御条件を調整します。

まとめ

電力使用量の見える化に効果があるかという問いへの答えは、「見える化そのものに削減効果はないが、打ち手を正しく選ぶには不可欠」です。最大デマンド値・その発生日時・山の回数という3つの数字まで読み込み、ピークが毎日型・季節型・突発型のどれかを見極めてください。

当社は約3,500社・12,000施設への導入実績と20年以上の稼働実績をもとに、特許を取得した制御方式で契約電力のピークを抑える仕組みをご提供しています。施設の規模にもよりますが、年間の電気代で70万円〜720万円の削減実績があり、CO2排出量では年間数十トンの削減につながっています。電気料金の明細をご用意いただければ、削減の見込み額を無料で試算いたします。

この記事を書いた人
株式会社Media Japan エネルギーソリューション担当
電気工事士資格を保有し、大規模施設への省エネシステムの導入から施工までを担当しています。記載の削減実績・目安額は、当社が実際に導入した施設のデータにもとづいています。個別の施設における削減額は、電気料金明細をもとに無料で試算いたします。
株式会社Media Japan/東京都豊島区東池袋1-25-6 PMO池袋2階
TEL 03-5985-5056 MAIL info@mediaj.jp
あわせて読みたい

高圧電力の電気代とCO2排出量を、同時に下げる|大規模施設向けサービス