「省エネ設備を導入したいが、補助金を使えるのか分からない」「制度がいくつもあって、どれが当てはまるのか判断できない」——年間の電気料金が2,000万円を超える病院・工場・ホテル・介護施設・商業施設・物流センター・オフィスビルなどの担当者から、こうした相談をよく受けます。
大規模施設が対象になりうる省エネ補助金は、国の予算にもとづく制度だけでも複数あり、対象設備・補助率・申請時期がそれぞれ異なります。加えて公募期間と審査があるため「交付が決まるまで設備更新を止めておくべきか」という判断も避けて通れません。
この記事では、大規模施設が使える主な省エネ補助金の制度と対象になりやすい条件、申請前に確認しておきたい実務上の注意点を、公的機関が公表している情報をもとに整理します。
大規模施設向けの省エネ補助金は、個別の設備を対象にする「省エネ・非化石転換補助金」と、施設全体の省エネ計画を対象にする「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場型)」の2つが軸になります。いずれも経済産業省・資源エネルギー庁の予算にもとづく補助事業で、対象や補助率、上限額の考え方が異なります。
空調・LED照明・給湯器・ボイラーなど15種類ほどの汎用設備を対象に、設備単位で申請できる制度です。公募要領によれば、補助率は原則1/3以内、上限額は1億円とされ、より省エネ性能の高い設備を扱う枠では上限が3億円まで引き上げられます。1つの設備からでも申請できるため、比較的取り組みやすい制度です。
正式名称は「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」で、空調・照明・熱源設備などを組み合わせた施設全体の省エネ計画を対象にします。補助率は申請枠により、公募要領では中小企業で1/2〜2/3以内、大企業で1/3〜1/2以内、上限額は単年度事業で15億円(非化石転換をともなう場合は20億円)とされ、複数年度の大規模更新にも対応できます。
この2つの制度に共通するのは、「交付決定の通知を受けたあとに契約・着工する」のが原則という点です。見積もりを取ってから交付決定までの間に一定の期間を要するため、スケジュールには余裕を持たせておく必要があります。
補助金の対象になりやすいのは、更新前後で省エネ効果を数値で示せる設備と、契約電力が大きく削減余地の大きい施設です。特に「工場・事業場型」補助金では、施設全体のエネルギー使用量の削減率が申請枠ごとに定められており、この基準を満たせるかどうかが採択の分かれ目になります。
契約電力50kW以上の高圧電力で受電している病院・工場・ホテル・介護施設・商業施設・物流センター・オフィスビルなどは、そもそもの電力使用量が大きいため、設備を更新した際の削減量を確保しやすく、補助金の要件を満たしやすい傾向があります。対象になりやすい設備の代表例は次のとおりです。
大規模施設のエネルギー使用量は、空調と給湯が大きな割合を占める傾向があります。照明のLED化だけで終わらせず、空調・給湯まで含めた計画にしたほうが、削減量を確保しやすく、補助金の要件にも近づけやすくなります。
補助金は交付決定までに一定の期間がかかり、必ず採択されるとは限らないため、電気料金の負担が大きい施設ほど「補助金を待つ」以外の選択肢も並行して検討する価値があります。初期費用がかからない仕組みで先に着工し、対象になりそうな設備は別途、次回の公募で補助金を活用する、という進め方も可能です。
公募開始から交付決定までは、制度によっては数か月単位の期間を要し、その間は原則として契約・着工できません。一方で、電気料金は毎月発生し続けるコストです。採択されるまで対策を先送りにするか、まず着手できる範囲から始めるかは、施設の状況に応じた判断が必要になります。
当社が提供している初期費用0円のスキームは、削減できた電気料金の範囲内で費用をお支払いいただく仕組みのため、補助金の採択結果を待たずに導入を始められます。補助金の対象になりそうな設備が別にあれば、そちらは補助金の申請を検討し、それ以外の部分は0円スキームで先に進める、という組み合わせ方もできます。
補助金の申請を検討する場合も、しない場合も、着工前に確認しておきたいポイントをまとめました。
補助金は原則として、交付決定の通知を受けたあとに契約・着工した経費のみが対象になります。見積もりを取っている段階で先に発注してしまうと、その設備は補助金の対象から外れてしまうため、申請を検討している場合は着工のタイミングに十分注意してください。
省エネ設備の工事には、電気工事士の資格を持つ技術者が対応する必要がある作業が含まれます。補助金の実績報告では工事内容の写真や書類の提出が求められることも多いため、現地調査から施工、書類の準備までを一貫して対応できる業者かどうかを、契約前に確認しておくと安心です。当社は電気工事士資格を持つ自社スタッフが施工まで担当しており、外部委託はしていません。
「工場・事業場型」補助金では、投資額を何年で回収できるかという目安が申請要件に含まれる場合があります。現地調査と電気料金明細の確認にもとづく削減見込み額の試算が前提になるため、申請を検討するなら早めに試算だけでも行っておくとよいでしょう。
申請書類の作成や交付申請の手続きは、施設の担当者様ご自身、または委託先の専門家が行うのが一般的です。当社では現地調査や削減見込み額の試算までを担当し、申請手続きそのものは専門の支援機関やコンサルタントに依頼するケースが多くなっています。
いいえ。補助金はあくまで導入コストを軽減する選択肢のひとつです。当社の初期費用0円スキームのように、補助金を使わなくても導入できる仕組みもあるため、不採択になった場合の代替案もあわせて検討しておくと安心です。
更新前後で省エネ効果を数値として示せる設備かどうかが大きな分かれ目になります。空調・照明・給湯・熱源設備など、エネルギー使用量の削減が測定しやすい設備は対象になりやすい一方、効果の数値化が難しい設備は対象外となる場合があります。
制度や公募回によって異なりますが、公募の締切から交付決定までに数か月程度を要するのが一般的です。交付決定後に契約・着工となるため、設備更新を急ぐ場合はスケジュールに余裕を持たせておく必要があります。
大規模施設向けの省エネ補助金には、設備単位で申請できる「省エネ・非化石転換補助金」と、施設全体の計画で申請する「工場・事業場型」補助金があり、対象設備・補助率・申請の流れがそれぞれ異なります。いずれも交付決定前の着工は対象外になるなど、申請には事前の準備とスケジュール管理が欠かせません。
補助金の採択を待つ間も電気料金の負担は続きます。まずは電気料金明細から削減余地を確認し、補助金を使う場合と使わない場合を並行して検討することが、大規模施設の省エネを着実に進める近道です。