省エネや電気代削減の相談先を探し始めると、同じ「省エネコンサルティング」という看板の下に、性格のまったく違う会社が並んでいることに気づきます。設備メーカーの提案部門、電力の小売事業者、補助金の申請を代行する事務所、施工まで自社で行う省エネ事業者。どれも省エネの相談先ですが、出てくる提案の中身は同じになりません。
年間の電気料金が2,000万円を超える規模の施設では、この選択が毎年の支出に長く効いてきます。ところが選定の基準は「実績を確認する」「自社のニーズに合う相手を選ぶ」といった原則にとどまりやすく、実際に提案書を前にしたときの見方までは、なかなか具体化されません。
省エネの相談先は、その会社が何で収益を得ているかによって、提案の中心になる打ち手がおおよそ決まります。選定は、検討している相手がどの成り立ちなのかを見分けるところから始めると早くなります。
大きく分けると4つです。設備メーカーの提案部門は、自社が製造する空調機や照明、変圧器といった機器の更新を軸に組み立てます。機器の性能データが手元にあるため、更新後の消費電力の見込みは精度が高くなります。電力の小売事業者は、電力量料金や基本料金の単価そのものを扱います。契約の切り替えで動くのは単価であり、使い方や設備には手が入りません。申請・計算の代行を専門とする事務所は、補助金の公募要領や省エネ法の報告書といった書類の側から支援します。施工まで自社で行う省エネ事業者は、制御装置の設置や配線の改修まで含めて、運用側の打ち手を扱います。
どれが優れているという話ではなく、施設が必要としている打ち手と、相談先が得意とする領域が噛み合っているかを見る、という話です。基本料金が高止まりしている施設に機器の更新だけを重ねても請求額は動きにくく、設備の老朽化が進んだ施設に制御だけを載せても限界があります。先に自施設の伸びしろを掴んでから相談先を選ぶと、噛み合わせの精度が上がります。
省エネ支援の費用の受け取り方は、固定報酬型・成果報酬型・削減分から支払う型の3つに大別され、効果が想定に届かなかったときに誰が負担するかがそれぞれ違います。提案書の金額欄より先に、この型を確かめてください。
調査・診断・設計に対して、あらかじめ決めた額を支払う形です。削減の結果にかかわらず費用が発生するため、負担するのは施設側になります。費用は施設の規模と対応範囲で幅が大きく、一律の相場が示しにくい分野です。診断書を受け取ったうえで、施工は別途発注する進め方になることが多い形式です。
削減できた金額の一定割合を支払う形です。効果が出なければ支払いも小さくなるため、負担は事業者側に寄ります。この型でもっとも重要なのは、何をもって「削減できた」と数えるかという基準(ベースライン)の定め方です。前年同月比なのか、直近12か月の平均なのか、気温や稼働率の変動を補正するのか。ここが曖昧なままだと、猛暑で使用量が増えた年に「削減されていない」と判定されたり、逆に稼働が落ちただけの月が成果として計上されたりします。
設備の費用を事業者側が負担し、削減できた電気料金の範囲内から支払う形です。契約時点での持ち出しが0円になります。省エネの契約形態は、一般に、資金の調達を施設側が行う方式と事業者側が行う方式に大別されるとされており、この型は後者にあたります。契約期間中の支払総額、期間が終わったあとの設備の所有権、中途解約の条件を、契約書の条文で確かめておく必要があります。
提案書は、削減額の総額ではなく「その額がどこから出ているか」を見ます。次の5つが書かれていれば、社内で検証できる提案です。
もう一つ、契約前に決めておきたいのが責任の継ぎ目です。省エネの導入は、現地調査・設計と機器選定・施工・効果の検証という4つの段階を通ります。これを一社で通すのか、段階ごとに分担するのかで、効果が出なかったときに誰が原因を確かめるかが変わります。
もう一点、見積もりを依頼する前に手元で揃えておきたい資料が3つあります。直近12か月分の電気料金明細、受変電設備の単線結線図、空調機や冷凍機など主要設備の銘板情報です。この3点があると初回の提案の精度が上がり、複数社を比べるときも同じ前提で並べられます。明細だけでも、契約電力・使用量・力率という比較の土台は揃います。
当社は、電気工事士の資格を持つ自社スタッフが施工まで担当し、外部への委託を行いません。特許を取得した制御方式による導入実績は約3,500社・12,000施設、稼働実績は20年以上です。年間の削減額は施設の規模によって70万円から720万円、CO2排出量では年間数十トンの削減が目安になります。初期費用は0円で、下がった電気料金の範囲内からお支払いいただく形をとっています。
直近12か月分の電気料金明細を同じ条件で渡し、削減額を基本料金と電力量料金に分けて記載してもらうよう依頼してください。前提が揃っていないと、総額の大小だけでは比較になりません。
できます。ただし効果が想定に届かなかったときに、診断の前提と施工の内容のどちらに原因があるのかを、施設側で切り分ける必要が出てきます。分ける場合は、検証の担当を契約前に決めておくと安心です。
制御による基本料金の削減は、高圧で受電している契約電力50kW以上の施設で効果が出やすい仕組みです。それ以外の規模では、運用の見直しや設備の更新が中心の提案になります。
電気料金明細の確認から現地調査、施工までを含めて、施設の規模や工事の内容によって前後します。稼働を止められない施設では、工事の時期を調整する日数を見込んでおくのが確実です。
省エネコンサルの選び方は、会社の評判を比べる作業ではなく、自施設の伸びしろがどこにあるかを掴んだうえで、その打ち手を扱える相手を選ぶ作業です。相談先の成り立ちで提案の中心が決まり、費用の受け取り方で負担の所在が決まります。
提案書では、削減額の総額ではなく、基本料金と電力量料金のどちらから出ているか、根拠が直近12か月の30分データか、施工は誰が行うか、届かなかったときどうなるか、導入後に数値の報告があるか。この5つで、社内で検証できる提案かどうかは判断できます。まずは電気料金明細を12か月分そろえるところから始めてみてください。