「設備投資の予算は取れない。それでも電気代は下げてほしい」——大規模施設のエネルギー担当者から、いちばん多く聞くのがこの板挟みです。
そこで「初期費用0円」という言葉に行き当たるわけですが、検索して出てくるのは太陽光発電の記事ばかりです。屋上に空調の室外機がびっしり並んでいる施設や、建物を借りている施設の担当者には、そのまま当てはまりません。そもそも「なぜ0円で始められるのか」「その代わりに何を払うのか」が分からないままでは、稟議に上げようがないというのが実際のところだと思います。
この記事では、初期費用0円で省エネを始める仕組みを、支払いの原資・設備の所有権・契約が終わったあとの扱いという3点から整理します。あわせて、契約書に目を通すときに必ず確認しておきたい条項も挙げます。太陽光に限らない話としてお読みください。
初期費用0円と呼ばれる仕組みは、費用が消えてなくなるものではありません。事業者が設備の費用をいったん負担し、施設側は導入後に発生する電気料金の削減分やリース料という形で、時間をかけて支払っていく形に置き換えたものです。
ですから、確認すべきは「本当に無料なのか」ではありません。何を原資に、いつから、いくら払うのか——ここが方式ごとにまったく違い、その施設に向くかどうかもここで決まります。
屋根や日射の条件に左右されないのは、リース型と、削減できた電気料金の中から支払う型の2つです。電力購入型は発電設備を置ける場所が前提になるため、そこで候補から外れる施設が少なくありません。
実際、総合病院や工場、物流センターの屋上は、空調の室外機・受変電設備・搬送設備などですでに埋まっていることが多く、必要な面積が残りません。建物を借りている施設では、そもそも屋根の使用権が施設側にないこともあります。屋上に載せられる重さの制限や、周囲の建物による日陰も条件になります。
もうひとつ見落とされがちなのが、契約の長さです。太陽光の電力購入契約は一般に15〜20年とされており、建て替えや用途変更の予定がある施設では組みにくくなります。設備を置かずに使い方の側を変える方式であれば、この長さの制約は小さくなります。
支払いは削減が出てから始まり、削減できた電気料金の範囲内に収まる設計です。導入の時点でまとまった支出は発生しません。
当社が提供しているのはこの型です。特許を取得した制御方式で施設の使用電力のピークを抑え、初期費用0円で導入いただき、削減できた電気料金の範囲内でお支払いいただきます。年間の電気代の削減実績は、施設の規模に応じて70万円〜720万円です。あわせてCO2排出量も年間で数十トン単位の削減になり、その数値を報告書の形でお出ししています。
ただし、削減の幅は施設の設備構成と負荷の出方によって変わります。金額をお約束するものではなく、電気料金の明細をお預かりして試算したうえで、見込み額をご提示するという進め方になります。
いちばん重要なのは「何をもって削減できたと数えるか」という基準(ベースライン)の定義です。ここが曖昧なままだと、支払額の根拠が後から食い違います。
施工を誰が行うかは、契約前に確認しておきたい点です。受変電設備や制御盤に触れる工事は、電気工事士の資格を持つ担当者でなければ行えません。
提案する会社と、実際に現場へ入る会社が別だと、施工の品質と工期がその外注先の状況に左右されます。当社は電気工事士資格を持つ自社スタッフが施工まで担当し、外部委託していません。約3,500社・12,000施設への導入と、20年以上の稼働実績があります。
もうひとつ、削減できた量を数値で報告してもらえるかも確認しておきたい点です。電気料金の削減額とCO2の削減量を毎回の報告で受け取れれば、社内への説明資料や、サステナビリティ報告の元データとしてそのまま使えます。
事業者が費用を立て替える分、総額では自己資金で購入する場合より大きくなるのが一般的です。その代わり、予算措置を待たずに始められ、支払いは削減できた分の中から行う形になります。どちらが有利かは、投資予算の確保しやすさと社内の意思決定にかかる時間で判断が分かれます。
年間の電気料金が2,000万円以上、月にしておよそ170万円以上の施設が中心です。高圧電力で受電している契約電力50kW以上の施設であれば、まず試算をご覧いただく価値があります。
制度によって併用の可否が異なります。補助対象となる設備の要件や、所有権が事業者にある場合の扱いが制度ごとに定められているため、公募要領の該当箇所を事前にご確認ください。ご相談いただければ、こちらでも要件を照らし合わせます。
多くの工事は施設の稼働を止めずに進められますが、受変電設備の切り替えなど一部の作業では停電を伴う場合があります。現地調査の段階で、停電を伴う作業の有無と所要時間をお伝えします。
初期費用0円の仕組みは、費用が無くなるものではなく、支払う原資と時点を入れ替えたものです。リース型・電力購入型・削減分から支払う型のどれを選べるかは、屋根の条件と、削減が想定を下回ったときに誰が負担するかで決まります。
屋上に余地がない施設や、建物を借りている施設では、設備を置かずに使い方の側を変える方式が現実的な選択肢になります。検討に入る前に、ベースラインの定義・契約期間・所有権の3点だけでも契約書で確かめておくと、稟議での質問に答えやすくなります。
お使いの施設でいくら下がるかは、電気料金の明細があれば試算できます。数字を見てから判断していただくのがいちばん確実です。